「自分らしい豊かさを手に入れる」
今回は「自分らしい豊かさを手に入れる」というテーマについて、
熊谷徹(くまがいとおる)さん著「ドイツ人はなぜ、年290万円でも生活が「豊か」なのか」をもとに考察していきます。
この動画を見ることによって、自分の価値観にあった豊かさを手にする方法について学ぶことができます。
突然ですが、世界一便利な日本で暮らし、一生懸命に働いているにも関わらず、不足感・不安感から逃れられない。
もしそんなお悩みを抱えた方がいたらあなたはなんとアドバイスしてあげますか?
今回ご紹介することを実践していただくと、
あなたの価値観にあった豊かさを手にする方法を見つけていくことができるでしょう。
「時間のゆとりを持つこと」
それでは具体的な方法を解説していきます。
一言でいうと「時間のゆとりを持つこと」です。
本書の著者・熊谷さんは、1990年よりドイツのミュンヘン在住、
ドイツの政治、経済、社会について本や記事を執筆してきたフリージャーナリストです。
そんな熊谷さんは
「ドイツ人は、金銭的に測ることができない価値を日本よりも重視している」
「ここにはお金に換算できない豊かさがある」と主張しています。
このことを数字で見てみると、2017年の時点でドイツに住む市民一人当たりの年間可処分所得、
つまり年収から税金や社会保険料を差し引いた手取り額は、日本円で平均約290万円。
ここから日本にはない税金をさらに差し引かれることがあります。
一方で、2017年に行われた同国の意識調査結果によると
「今の生活に満足していますか?」という問いに対して、
「非常に満足している」「かなり満足している」と答えた人の比率は、93%に達したのです。
ここからが本書のメインテーマとなりますが、収入が低く、税率は高く、結果的に貯蓄額が低くとも、
ドイツの国民が高い生活満足度を誇る理由に「生活にゆとりがあること」がキーとなっていると著者は分析します。
忙しないのに満足に足りない日々の生活を送ってる方に向けて、
今回はドイツの人々の暮らしからそのヒントを探っていきます。
ここでは収入が低くても生活のゆとりをもつ方法について
ポイントを3つに絞ってみました!
・不便の”良いとこ”を受け入れる
・自由な時間という通貨を集める
・未来の世代に豊かさを引き継ぐと考える
ここからさらに詳しく、これらを一つ一つ解説していきます。
「不便の”良いとこ”を受け入れる」
まずはじめに「不便の”良いとこ”を受け入れる」について解説していきます。
長年ドイツで生活してきた著者の熊谷さんがみるに、
ドイツ人にはまだ
「自分でできることは他人の手を借りずに、自分でやる」
という原則が残っているのだと言います。
近年では日本でも、家具やインテリアを自分で作る「DIY(Do it Yourself)」の考えが見直されていますが、
ドイツの人々の場合は大工仕事に限らず、基本的に自分のことは自分で、の精神が根強く残っているのだそうです。
そして、その精神性の背景には
「みんながちょっとだけ不便を我慢する社会」があることを熊谷さんは分析しています。
例えばドイツで生活すると次のようなことがあります。
・大都市ですら深夜に営業しているコンビニはない
・レストランで、店員がすぐに注文を聞きにくるとは限らない
日本ならクレームになりそうな場面ですよね。
それでも「こんなもんだ」「ちょっとずつ我慢でもいいか」と受け入れて、
皆の許容があるからこそ、ドイツの人々は世の中のサービスに過度な期待をしないのだとか。
だからこそ自分で手を動かして作ったり準備する面白さを理解しているともいえるのです。
「ちょっと不便」の裏側にある、自分でできることの喜びに目を向けてみませんか?
「自由な時間という通貨を集める」
続いて「自由な時間という通貨を集める」について解説していきます。
冒頭ではドイツの人々の平均年収や貯蓄の低さについてご紹介しましたが、
もちろんドイツにも「ほどほどの生活」では満足できないという人もいます。
他国と同じく、大企業には出世欲に満ちた野心家。
重役に就くために自由時間を犠牲にして、身を粉にして働く人。
しかし、そんな人々は少数派ということを熊谷さんは伝えています。
特に面白い考察をご紹介すると、
実際ドイツの企業関係者の間では
「ドイツの新しい通貨は自由時間だ」という見方が強まっているといいます。
これはつまり、お金よりもプライベートな時間の方が重要だと考える人が増えているということ。
「月給が増えなくても、家族と過ごす時間が増えればいい」
と考える人が主流になりつつあるというのです。
日本でも徐々にこのような考え方・働き方にシフトしている傾向もありますよね。
そして自由な時間を持つ魅力の一つに
「お金の掛からないレクリエーションを楽しめる点」と熊谷さんは紹介しています。
例えば次のようなことが挙げられます。
・都市部から地方へ移動して1箇所に長期滞在
・サイクリングで身体を動かす
・屋外でビールを飲む日々
・キャンピングカーで土地ごとの食材を買って料理しながら旅する
ある程度時間の余裕があるからこそ実現できる休暇とも言えますね。
数字で表せる単位としてわかりやすいお金ですが、
目には見えないけれど価値あるものとは他にも人によって多様にあるものです。
年収が下がる、手にできるお金が減ると焦ってしまう気持ちは、最初は誰しも同じです。
しかしその分自由な時間が増えることは、価値ある富が増えることに等しいと、
一度お金だけでない価値を見つめ直してみるのもいいですね。
「未来の世代に豊かさを引き継ぐと考える」
最後に「未来の世代に豊かさを引き継ぐと考える」について解説していきます。
「地球は子供たちから預かったもの」
これは、今やミュンヘンの中堅政党となった緑の党が掲げたスローガンです。
そしてこの言葉は
「我々は地球の自然や資源を大切に扱って、子供達に美しい環境をそのまま引き継ぐ義務がある」
という意味を表します。
こうしてエコロジーを意識することが原則となっているドイツの人々は、
お金だけでなくエネルギーの節約も大好きなのだとか。
例えば過剰なサービスや長い労働時間、週末のオフィスワークなどを避けることによって、
間接的にエネルギーの節約に貢献していると考えます。
質素で資源を節制する暮らしに誇りを持っていて、リサイクルを愛しているのです。
しかし、エネルギー消費を減らしながら経済成長を遂げる両立をドイツはすでに示しています。
ドイツの電力会社などが作っている報告書によると、
1990年から2017年までにドイツの一次エネルギー消費量は9.1%減少したと報告されています。
つまりこの期間に毎年エネルギー消費量が平均0.4%ずつ減った計算になりますね。
このようにエネルギー消費量が減っているにも関わらず、
ドイツのGDP(実質国内総生産)は、この期間に49.6%も増えているのです。
つまり、かけるべきところにお金をかける集中と選択。
それができる社会と人々の暮らしは、
働きすぎずお金に振り回されないちょうど良い範囲で、豊かな生活につながることを表しているのではないでしょうか。
【まとめ】
では最後にこの動画の考え方をまとめて振り返っていきます!
まず「少しの不便を楽しみ、見栄を捨てる」ということ
そして「自由時間に価値を見つけ、自分軸の格好良さを見出す」ということでした。
本書で紹介されているドイツの人々の暮らし、
それは「自分が良いと思うものに誇りを持って暮らしている」と読み取れます。
質素であることも、安物の車に乗って生活している時も、
自分がそれを良いと感じたのであれば堂々と暮らしているというのです。
そして、普段は節制した上で「皆と同じであること」ではなく「自分が良いと思うもの」に集中してお金を使います。
見栄を捨てて、自分が良いと思う価値観で物の良し悪しを判断することが大切なのではないでしょうか。
お金以外の豊かさを認め合うドイツの暮らしぶりを、この一冊から覗いてみませんか?